SATREPS-NyMoとは?

地球規模課題対応国際科学技術協力事業
(Science and Technology Research Partnership for Sustainable Development)
平成20年度から開始された地球規模課題対応国際科学技術協力事業は、我が国の科学技術外交の強化の一環として、文部科学省・外務省の支援の基に、科学技術振興機構(JST)と独立行政法人・国際協力機構(JICA)とが連携して実施されています。開発途上国のニーズをもとに、地球規模課題を対象とし、将来的な社会実装の構想を有する国際共研究を政府開発援助(ODA)と連携して推進することによって、地球規模課題の解決および科学技術水準の向上につながる新たな知見を獲得することを目的としています。また、その国際共同研究を通じて開発途上国の自立的研究開発能力の向上と課題解決に資する持続的活動基盤の構築を目指しています。開発途上国としては、特にアジア・アフリカ諸国を重点的に考慮しています。地球規模課題対応国際科学技術協力事業の英語名はScience and Technology Research Partnership for Sustainable Development で、頭文字を取って"SATREPS"と略称されています。我々のSATREPS研究課題は次に示すように、カメルーン火口湖での防災に関連するものであるので、我々の取り組みをSATREPS-Cameroonと呼んでいます。

なお、地球規模課題対応国際科学技術協力事業の概要は、下記のリンクにも記載されています。
  • 独立行政法人・科学技術振興機構(JST)
  • 独立行政法人・国際協力機構(JICA)

  • SATREPSの研究分野は、環境・エネルギー分野、生物資源分野、防災分野および感染症分野とされています。我々は防災分野のうち、研究領域「開発途上国のニーズを踏まえた防災科学技術」に以下の課題で申請し、平成22年度から5年間の予定で採択されています。

  • 研究課題名:カメルーン火口湖ガス災害防止の総合対策と人材育成
  • 研究代表者名:大場 武 (東海大学理学部教授)
  • 相手国主要研究機関:カメルーン国立地質調査所(Institute for Geological and Mining Research (IRGM)
  • 研究課題の概要 カメルーンでは1980年代のニオス湖とマヌーン湖での湖水爆発後、両湖でガスの蓄積が継続しガス災害の再発が懸念されています。湖水爆発を防止するために、現在、湖に溶存しているガスを人為的に除去する作業が進められています。しかしながら、マグマからのCO2の供給メカニズム、供給経路、湖水爆発のメカニズム、噴火履歴等の詳細については未解明な部分が残されたままです。そこで、本研究では日本とカメルーンの研究者が共同研究を行い、ニオス・マヌーン湖におけるCO2ガス災害の再発防止を目指しています。
    研究課題として、ニオス・マヌーン湖の地球化学的研究を行い、CO2流動系と噴火履歴の解明を進めること、さらに湖水爆発の数値シミュレーションを行い、爆発メカニズムを解明することで、湖の監視体制の確立や防災に向けた総合対策の提案を行います。またカメルーンから留学生を受け入れて日本で教育を施し、将来カメルーンにおける研究を担う人材を育成することがSATREPS-Cameroonの大きな柱となっており、これらの共同研究を通じて、カメルーンの研究者のキャパシティ・ビルディングを図り、両湖のガス災害を予測するために、湖の観測・研究を継続・発展できる体制の確立を目指しています。